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2025/10/07

整備士が働くならどっち?認証工場と指定工場の違いを徹底解説!

自動車整備士として働きたいと考えたとき、「認証工場」と「指定工場」のどちらを選べばいいのか迷う方も多いのではないでしょうか。

この記事では、両者の業務内容やスキルアップの違いをわかりやすく解説します。さらに、それぞれに向いている人の特徴も紹介しますので、転職・就職先を選ぶ際の参考にしてください。

認証工場、指定工場とは?

自動車整備工場には「認証工場」と「指定工場」があり、どちらも自動車整備を行う重要な施設です。名前は似ていますが、認可の基準やできる業務には大きな違いがあります。ここでは、それぞれの定義と特徴を確認してみましょう。

認証工場とは

認証工場とは、地方運輸局長から「認証」を受けた工場のことです。分解整備や特定整備を行えますが、工場内で車検検査(完成検査)を実施することはできません。この点が指定工場との大きな違いです。

<認証工場になる条件>
• 一定規模の作業場を持っている
• 整備に必要な機械、工具、設備を備えている
• 整備主任者を事業所ごとに選任し届け出る
• 社員数に応じて整備士資格を持つ社員が必要人数在籍している(例:社員数5人なら資格保有者2人以上)
• 特定整備に携わる社員は主任者を含め2名以上いる
• 施設の面積が法で規定された基準を満たしている

全国には約62,500ヵ所の認証工場があり、工場の看板には黄色または若草色の「自動車特定整備事業」の認証標識が掲示されています。特に若草色の標識は、電子制御装置の整備が可能であることを示しています。

指定工場とは何か

指定工場とは、国が定める厳しい基準を満たし、地方運輸局から「指定」を受けた工場です。工場内で公的な検査場と同じ車検検査を行えるため、「民間車検場」とも呼ばれています。

<指定工場になる条件>
• 社員が5名以上在籍している
• 整備士資格を持つ社員が全体の3分の1以上いる
• 自動車検査員を1名以上配置している
• 車両整備作業場、点検作業場、部品整備作業場、車両置場を備えている
• 完成検査場や車検検査に必要な専用の検査機器、検査ラインを備えている
• 施設の面積が法で規定された基準を満たしている

全国には約30,000ヵ所の指定工場があり、工場の看板には青色の「指定自動車整備事業」の認証標識が掲示されています。

認証工場と指定工場の業務の違い

続いて、認証工場と指定工場における業務の違いを見ていきましょう。

認証工場の業務

認証工場では、日常点検や定期点検、故障部品の修理・交換、板金塗装など、幅広い整備業務を行えます

<具体的な業務例>
• エンジン、動力伝達装置、走行装置、操縦装置、制動装置、連結装置などの分解・修理
• 電子制御装置に関する整備(電子制御整備の認証を受けた工場のみ対応)
• 車検に備えた事前点検や整備

ただし、工場内で車検検査(完成検査)を行うことはできません。車検を受ける際は、陸運支局や指定工場に持ち込む必要があります。

指定工場の業務

指定工場では、認証工場で行える整備に加え、工場内で車検検査(完成検査)を実施できるのが大きな特徴です。これにより、顧客がわざわざ運輸支局へ車両を持ち込む必要がなく、手続きが簡単になるメリットがあります。

両者の明確な違い

両者の最大の違いは、車検検査を工場内で行えるかどうかです。

認証工場は点検・整備が中心で、2級・3級整備士資格があれば対応可能です。特殊な電子制御整備も一部ありますが、経験豊富な整備士がいれば十分です。

指定工場はより高度なスキルを要し、整備士資格を持つ社員の割合が高く、検査員の配置も義務付けられています。

認証工場と指定工場の働きやすさ・職場環境の違い

認証工場と指定工場では、共通点もありますが、職場環境や働きやすさにおいて傾向が異なります。それぞれの特徴を見ていきましょう。

認証工場の働きやすさ・職場環境

• アットホームな雰囲気
 独立系の中小企業や個人経営が多く、少人数体制で社員同士の距離も近いため、コミュニケーションが活発。チームワークを学びやすい環境です。

• 未経験者に優しい
 先輩社員が丁寧に指導してくれるケースが多く、整備士としての第一歩を踏み出しやすいのがメリット。

• 環境面での課題
 大手ディーラー系の指定工場に比べると、空調などの設備が整っていないことが多く、夏は暑く冬は寒いといった環境で作業する場合もあります。

• キャリア支援の不足
 資格取得支援や昇進制度が十分に整っていない傾向があるため、自主的なスキルアップが必要になるケースもあります。

指定工場の働きやすさ・職場環境

• 幅広い企業形態
 大手ディーラー系やカーディーラー系の指定工場も多く、会社の規模によって職場環境や制度はさまざま。

• スキルアップに有利
 車検検査(完成検査)を実施しているため、認証工場よりも高度な整備に携われます。整備士としてキャリアアップを目指しやすい環境です。

• 設備や福利厚生の充実
 大規模なディーラー系では、最新設備や良質な工具、空調の整った快適な職場環境が整備されていることが多いです。さらに資格取得支援や評価制度、キャリアパスも充実しており、昇進・昇給のチャンスも広がります。

• メーカー特化の強み
 特定メーカーの車種を多く扱うことができるため、「好きなメーカーの車に携わりたい」という希望がある方には魅力的な環境です。

休暇・給与・制度など職場による違いは?

認証工場と指定工場を比較すると、指定工場の方が休暇、給与、制度の面でメリットが多い傾向にあります。ただし、どちらの場合も企業によって異なるため、あくまでも傾向としてとらえる必要があります。

それぞれの比較について以下にまとめました。

<休暇>
認証工場:年間休日は100~120日程度が多いが、中小企業や個人経営では休みが取りづらいこともある。
指定工場:年間120日以上の休日を設けている企業が多く、完全週休2日制や育児・介護休暇の制度が整っている場合もある。

<給与>
認証工場:平均年収は約426万円。
指定工場:全体の平均は同じく約426万円だが、大手ディーラー系では490万円以上も可能。

<制度>
認証工場:中小企業・個人経営が多く、資格取得支援やキャリア制度は限定的。
指定工場:大手ディーラー系などではスキルアップ制度や評価制度が充実しており、昇進・昇給の仕組みが整備されている。

認証工場と指定工場のキャリア形成に与える影響は?

認証工場と指定工場では、キャリア形成において大きな違いがあります。一般的には指定工場の方がスキルアップの機会が豊富で、整備士としてキャリアを築きやすい環境といえるでしょう。

認証工場のキャリア形成

認証工場では、点検や修理などの基本的な整備スキルを磨くことができます。ただし、車検検査(完成検査)を実施できないため、車検に関する実務経験は積めません。また、在籍する整備士数が少ないケースも多く、専門的な知識を深める機会は限定的といえます。

一方で、地域密着型の中小企業や個人経営が多いため、顧客対応やコミュニケーションスキルを身につけやすいのは大きなメリットです。将来的に独立を考える人にとっては、整備スキルだけでなく顧客対応力を培える点が強みとなります。

指定工場のキャリア形成

指定工場は、基本的な整備業務に加えて車検検査(完成検査)にも携われるため、幅広いスキルを習得できます。特に大手ディーラー系では、資格取得支援制度やキャリアパスが整っており、整備士として成長するチャンスが豊富です。

また、社員の約3分の1が整備士資格を持っているなど、全体的にスキルレベルが高いため、周囲から学びやすく、成長を後押しする環境が整っています。結果として、認証工場よりもキャリア形成において有利だといえるでしょう。

将来独立を考えるなら、どちらの経験が役立つ?

将来的に独立を目指すのであれば、指定工場で幅広い整備経験を積んでおくことが有利になります。とはいえ、最終的には「どんな整備士になりたいか」によって最適な環境は変わります。

• 指定工場経験 → 車検を含む幅広いスキル習得、スキルアップ重視の人に有利
• 認証工場経験 → 顧客対応力や地域密着型の経営感覚を磨きたい人に有利

つまり、指定工場での経験が必須というわけではありません。認証工場でも独立に必要な整備スキル(点検・分解整備・特定整備など)は習得できます。
「自分がどんな整備士を目指すか」「どんな働き方をしたいか」を明確にしたうえで、最適な環境を選ぶことが重要です。

認証工場と指定工場それぞれに向いている人は?

工場選びでは、仕事内容や待遇だけでなく、自分のライフスタイルや価値観に合っているかどうかも大切です。ここでは、認証工場と指定工場に向いている人の特徴をまとめました。

認証工場に向いている人

認証工場は、以下のような人に向いています。

• 柔軟な働き方を求める人
中小企業や個人経営が多く、独自ルールで自由度の高い働き方がしやすい環境です。大手のように細かい規定に縛られず働きたい人に適しています。

• 顧客対応力を身につけたい人
地域密着型の工場が多く、顧客と直接コミュニケーションを取る機会が豊富です。整備以外に接客スキルも磨きたい人におすすめです。

• 体力に自信がある人
整備だけでなく、接客や事務作業、車検場への持ち込みなども兼任することがあります。幅広い業務をこなす体力と柔軟さが求められます。

指定工場に向いている人

指定工場は、以下のような人に向いています。

• 幅広い整備スキルを習得したい人
車検検査を含む多様な業務を経験でき、自動車検査員資格の取得も可能です。整備士として実力を磨きたい人に最適です。

• 快適な職場環境を求める人
大手ディーラー系の指定工場なら、空調・工具・設備が整っていることが多く、働きやすさを重視する人におすすめです。

• 待遇や将来性を重視する人
福利厚生や資格支援制度が充実しており、評価基準やキャリアパスも明確です。安定した待遇のもとで長く働きたい人に向いています。

自分に合った整備工場でキャリアをスタートしよう

認証工場と指定工場には、それぞれ違った強みがあります。重要なのは「どちらに入るか」よりも、「自分がどんな整備士を目指すか」です。

理想のキャリア像を描き、その実現につながる工場を選ぶことが、将来の成長とやりがいにつながります。

迷ったときは、自分が優先したいもの、例えば、スキル・働きやすさ・待遇・顧客とのつながりなどを整理してみましょう。きっと、自分に合った選択肢が見えてくるはずです。

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この記事の執筆者

メカニック転職ナビ編集部
自動車整備士の転職サイト「メカニック転職ナビ」の編集部です。自動車整備士の転職に役立つ情報をわかりやすくまとめてお届けします。